心不全
心不全とは
心不全とは、心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送り出せなくなる状態を指します。全身の臓器や組織に必要な酸素や栄養を十分に届けられなくなり、息切れやむくみ、疲労感などの様々な症状が現れます。
心不全は、高齢者だけでなく、若い世代にも起こり得る病気です。近年では、生活習慣の欧米化や高齢化社会の進展により、患者数は増加傾向にあります。
心不全の症状
- 息切れ:安静にしていても息切れを感じる、歩いたり階段を登ったりすると息切れがひどくなる
- むくみ:足首やすね、顔などが腫れる
- 疲労感:ちょっとした動作でも疲れやすくなる
- 動悸:心臓がドキドキしたり、脈が速く感じる
- 体重増加:短期間で体重が2Kg以上増加する
- 食欲不振:食欲がなくなる
- 咳:特に夜間に咳が出やすくなる
心不全の原因
- 虚血性心疾患:心臓の筋肉に血液を供給する冠動脈が狭窄したり、閉塞したりすることによって起こる
- 高血圧:長期間、血圧が高い状態が続くことによって心臓に負担がかかり、心不全に至る
- 心筋症:心臓の筋肉が厚くなったり、硬くなったり、薄くなったりすることによって起こる
- 弁膜症:心臓の弁膜に異常(狭くなったり、逆流する)が生じ、血液の流れが悪くなることによって起こる
- 先天性心疾患:生まれつきの心臓の構造異常、奇形。
- 不整脈:心房細動、心室性不整脈、心房性頻拍など、心臓のリズムが乱れることによって起こる
- アルコール性心筋症:長期間、大量のアルコール摂取によって心臓の筋肉がダメージを受ける
- その他:(糖尿病、甲状腺機能異常など)
心不全の種類
心不全は、心臓のどの部分に異常が生じているかによって、以下のように分類します。
- 左心不全:左心室のポンプ機能が低下するものです。息切れや肺水腫などの症状が現れます。
- 右心不全:右心室のポンプ機能が低下するものです。むくみや肝臓の腫れなどの症状が現れます。
両方の心室のポンプ機能が低下する両心不全もあります。
心不全の治療
心不全の治療は、主に以下の3つの方針で行われます。
- 薬物療法:心不全の症状を改善し、心臓の機能を維持するための薬を服用します。
- 生活習慣の改善:食生活の改善、運動療法、禁煙、減塩など。
- デバイス療法:ペースメーカーや植え込み型除細動器などのデバイスを埋め込み、心臓の機能を改善します。
- 手術療法:弁膜置換術や冠動脈バイパス手術などを行う
- 心臓移植、左心補助装置など人工心臓植込み
心不全は完治することは難しい病気ですが、適切な治療を受けることで症状をコントロールし、日常生活を送ることが可能です。
心不全の予防
心不全の予防には、以下のことが重要です。
- 生活習慣の改善:食生活の改善、運動療法、禁煙、減塩など
- 定期的な健康診断:高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の早期発見・早期治療
- 心疾患の早期発見・早期治療
心不全は、早期発見・早期治療が重要です。息切れ、むくみ、疲労感などの症状がある場合は、早めに医療機関を受診するようにしましょう。